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※自転車研究家の鈴木邦友評議員からの報告です。(2015年5月20日)


どうなってんの?タイヤ表示   鈴木邦友評議員

 26型、24型、20型・・・・・、サイクルショップの店頭では自転車はこのように表示されている。カタログやチラシも同様。たぶんこれをお読みの方であればすでにご承知のとおり、その単位はインチで、数字が大きくなれば自転車も大きくなる。「型」については、日本ではメートル以外の長さの単位をビジネス上自由に使えないため、その代わりとして使用されている呼び名。正式にはその数字は車輪の直径(タイヤ最外径)を示すもので、26型は26インチ車、24型は24インチ車となる。テレビが型で表示されるのも全く同じ理由。まるで「インチ」の日本語訳が「型」で、「1型=25.4mm」と言っているのと同じようなものだ。これでは「型」自体も新たな単位となり、違法とかわりないように感じられる。もちろんそのような数式や単位はどこにも存在しないわけで、結局その数字の意味が消滅してしまうことになる。それではということで全てをメートル法で置き換えると、26インチ車は660mm車、20インチ車は508mm車ということになり、全くイメージがつかめなくなってしまうばかりでなく、それぞれの文化までをも軽視してしまうことにもなる。

ところで、日本の自転車の中には23.5型というものがある。先ほど述べたとおりであれば23.5インチの車輪を持った自転車ということになる。しかし自転車をちょっとかじったことがある方であればお解りのとおり、そんなサイズは世界中どこを探しても存在しない。ということで実車の表示を見てみると、タイヤには22×1-3/4、リムには22×1-3/8と表示されている。ようするに22×1-3/8のオーバーサイズのこと、英国式に正しく表示するならば22×1-3/8×1-3/4というタイヤのことになる。ちなみにこの22インチをなんで23.5型と呼ぶのかとお店の方に聞いてみたところ、この方がお客様のうけがいいからで、22型と表示するよりも23.5型と表示した方が車輪が大きく感じられ売れ行きが良いとのことだった。

 余談になるが、実際先日この妙な表示のせいで困ったことがおきた。ミニサイクル用のタイヤを買いに行った時のこと、23.5型と言って出していただいたタイヤには、22×1-3/4という表示しかなかった。日本国内で販売されている分数表示の22インチタイヤなので、22×1-3/8インチリム用であることは間違いないと思ったが、最近は輸入物も多いので念のため「22×1-3/8 WOリムにつきますよね?」と尋ねてみた。するとその店員さんは首をかしげたまま固まってしまった。ともかくタイヤだけは実測しようがないので表示に頼るしかない。店員さんの「もしサイズが違っていたら交換しますよ。」という言葉だけが救いだった。

 スポーツ車の世界でもこれに似たようなものがあった。小径車がまだまだ珍しい存在だった頃、そのメーカーのマニア向けスポーツ車に付けられていたのが24×1-1/8という車輪。リムは無刻印でタイヤのみに24×1-1/8の文字が記されていた。カタログには24インチチューブラーと互換性があることが記載されていた。気になって調べてみると、国内では初めて製品化されたサイズで、自転車便覧をひもといてみるとISO表示が520、英式では24×1-3/4と呼ばれているサイズらしいことが分かった。試しに逆算をしても極めて24×1-3/4に近いサイズになった。もしそうであれば、ISOに従い28-520と必ず表示した上で、英国式に24×1-1/8と表示をすべきであり、24インチというと24×1-3/8しかない日本国内では誰もが24×1-3/8×1-1/824×1-3/8インチリム用のアンダーサイズタイヤ)と思ってしまうのではないかと気になった。

 そして去年ぐらいからまた市場を混乱させるような表示の車輪を目にするようになった。マウンテンバイク用の「29インチ」とか「27.5インチ」がそれだ。マウンテンバイク用ということでHE形式と想像したが、ISOでは前者は622、後者は584という表示がなされており、700C650Bということが判明した。ちなみにもともとISOにはWOHEの分類はないので、ビード径が同じであればWOでもHEでもどちらのリムにも合うことになる。筆者も試しにこの27.5インチタイヤを購入し、昔ながらの650Bリムと組み合わせてみた。するとなんの問題もなく嵌ってしまった。

 となればなんでわざわざこんな妙な表示をして、市場を混乱させるのだろうと不思議に思った。700Cのインチ表示は28×1-3/4で、決して29インチではなく、650Bもまたインチ表示にすると26×1-1/2で、こちらも27.5インチなどではない。それをわざわざ根拠のない数字で表示することは誠もっておかしな話であり、まさに前述の23.5型のママチャリ問題と同じことが起きてしまうことになる。

 

ここのところ自転車で最も複雑なリムとタイヤの表示が、少々乱れてきているように思える。27.5×1.526×1-1/2でしかも650Bのことだなんて誰が理解できよう。タイヤの種類はどんどん増えているというのにその表示がこんな状態では間違いが増えるばかりだ。標準化のためのISO表示もいまだ普及していないし。嵌めてみなければわからないというのではトラブルの原因にもなる。

 その昔、欧州の輸出用のタイヤには英国式、仏国式、ISO式、北欧式、その他ビード周長までも表示されたものがあった。ここまで表示してあればどこの国でもリムとの互換性が明確で困ることはない。さすがにここまでは必要はないが、せめても正しい英国式表示だけはしておいてもらいたいと思う。英国式表示は最も合理的で、これさえちゃんとしておいていただければ、特に混乱することはなくなるはずだ。

 海外サイクリング中は、日本ではお目にかかれないサイズのタイヤに出くわす時も多い。タイヤ交換時は十分注意が必要だ。

 

英国式リム表示  26×1-3/8

 意味:ビードシートからタイヤ最外周までの距離が1-3/8インチのタイヤをはいたときにタイヤの外周がちょうど26インチとなるリムのこと。

英国式タイヤ表示 26×1-3/8×1-1/2

 意味:上記の26×1-3/8リムに合い、ビードシートからタイヤ最外周までの距離が1-1/2インチのタイヤのこと。タイヤ最外径が26インチより大きくなるためオーバーサイズという。26×1-3/8×1-1/4の場合はタイヤ最外径が26インチよりも小さくなるため、アンダーサイズと呼ばれる。ちなみにスタンダードサイズの26×1-3/8×1-3/8の場合は、通常最後の1-3/8が省かれ26×1-3/8と表示される。


23.5
22×1-3/81-3/4タイヤなのか22×1-3/4の標準サイズタイヤなのかわかりづらい


最近お騒がせの27.5インチタイヤ
50-584 ISO表示から650Bであることがわかる



ISO式はないがとてもわかりやすい表示


英国式のとてもわかりやすい表示


仏国製タイヤに見られる適合リムを表す仏国式表示


仏国式表示のみのリム


正しい表示のリム
「″」インチ記号まで表示されている


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