ウクライナ走行記──百聞は一見にしかず
2011年9月7日
Aleksander Klaja
※ポーランド中西部の町ポツナンに住むサイクリスト、アレクサンダーさん(25歳)から隣国ウクライナへの自転車旅行のレポートが届きました。ガールフレンドのカロリーナさんと二人でおんぼろのタンデム自転車を駆使して31日間、2400kmの旅です。(2011年9月7日)
ポーランド国内やヨーロッパ、オーストラリアは自転車で旅したことがありましたが、今回は、ガールフレンドと共にポーランドの東隣のウクライナを初めて旅することにしました。隣国といえども、ヨーロッパと違い旧ソビエト圏のウクライナは情報が少なく、第二次大戦でソビエト軍から自国民が虐殺された経験から、ポーランドではウクライナのことを悪く噂されています。
例えば
・「ウクライナは危険な国です。」
・「ウクライナの自動車の運転はいい加減だから車にひかれますよ。」
・「所持金や所持品を盗まれるかもしれない。殺されるかもしれない。」
・「イミグレーションで入国を拒否されるか、入国できても帰国させてもらえない。」
このような噂を何度も耳にして出発前には不安をいだいていました。
ウクライナ北部には50年前のポーランドのような田舎と美しい自然が広がっています。広大な大地に機械的なものは少なく、農業機械さえ見かけません。農民は馬を飼育し、下水道施設がなく、電気もわずかしかありません。アスファルト道は主要道路などわずかで土道がほとんどです。自動車はあまり見かけず、人びとが町に行くには主に徒歩や自転車、馬車、バスが使われています。田舎の人々は自給自足の生活をしていて、地元で採れた作物や家畜を食べて暮らしています。
タンデム自転車はインターネットのオークションで中古品を300ズウォティ(約7640円)で買いました。小さく折りたたみが可能な1970年代のポーランド製(Romet)のものですが、鉄のフレームは品質が悪く、溶接修理が必要でした。後ろの三角の部分も補強溶接し、前後のキャリアを取り付けたりすると合計1200ズウォティ(約30000円)かかりました。車輪は20インチ。ブレーキは前輪なしで後輪はペダルブレーキです。ギアチェンジはありませんから上り坂では押して歩きました。それでも平地が多い地域だったので一日平均88km、最長で一日135km走りました。
中国製のタイヤでしたがパンクは一回もしませんでした。しかし、我々と荷物の150kgの重量に耐えられず、スポークは最初の10日間で6本も折れました。
宿泊はたいていテントで、たまには招待された人の家や貸し家で寝泊りしました。
旅を終えて、無事にウクライナからポーランドに帰国した時、ポーランドの人々が噂していたウクライナの悪い噂が全くのうそだとわかって幸せな気持ちになりました。「百聞は一見にしかず」ですね。私たちはウクライナで、ポーランド人が想像を絶するほど親切な人々に出会いました。国境では入国待ちする車の列からウクライナ人達が自転車旅行者の私達を優先的に先に進ませてくれたり、やさしく話しかけてくれたりしました。ウクライナ国内では、地元の人たちから食事や宿泊を招待されたり、自動車の運転手達はいつも安全運転で車間幅を十分にあけて運転してくれました。
気に入った場所: ・自然景観:ウクライナ北部の森や集落
・町並み:リボフ(Lviv)
言語:ウクライナ西部ではウクライナ語、東部ではロシア語がよく使われます。ウクライナ語はポーランド語によく似ています。