“もっと遠くに”
アドベンチャー・サイクリング
――この言葉の響きからいったいどういう自転車旅行を想像されるだろうか。
国内自転車旅行にしろ、海外自転車旅行にしろ、自転車旅行の大小、当事者の経験の有無、意識の強弱によって意味あいは違うが、昔からたくさんの人達が様々なアドベンチャー・サイクリングを行っている。
世界旅行をした者から見れば、日本一周はアドベンチャー・サイクリングではないと言うかも知れない。しかし、初めて遠乗りに出かけた小学生にしてみれば、それはそれでアドベンチャー・サイクリングには変わりないのである。
まず、人間として生まれてきた以上、その成長段階において、だれしも一度は「どこか遠くへ行きたい」と本気で願うものである。しかし、それが実現するかしないか、人それぞれ置かれた立場、条件によって異なり、みんながこの願望を満たせるとは限らない。このすべての人が心の底に抱く“旅への憧れ”を、まず大切に育てることから、アドベンチャー・サイクリングは始まる。
そして“遠くへ”から“もっと遠くへ”と夢はふくらみ、ついには“未踏の地へ”と、どんどんエスカレートしていく気持ち、これを“冒険心”と言うのである。
この冒険心を「自転車」というもっとも身近な手段をとおして満たそうとするすべての人々を対象として日本アドベンチャー・サイクリストクラブ(JACC)が発足した。