永久名誉会員 佐藤 文彦
鎮魂2019~特筆!!ブログ「世界科学習」発信教育旅~元教師佐藤を悼む
お願い
「世界の道へ──旅立ちから14カ月、13カ国目での不慮の交通事故で31歳という若さで生涯を閉ざした“冒険サイクリスト”佐藤文彦同志の青春を、他界から6年の本年(2025年)、ともに偲んでいただければ幸いです」
※本文(原文尊重)、文言の重複、文中の西暦・元号表記(数字の全角・半角記載による非統一表記)等、乞うご容赦。
■佐藤文彦
(千葉県佐倉市出身、千葉大学教育学部OB、1987=昭和62=年8月生れ、2017年9月入会)は2018年6月(30歳)から19年8月(31歳)、北中南米1万6000kmを走破。
小学校教師を8年、教え子達に見送られ…世界一周を目指した佐藤。
2019年6月、南米コロンビアへ再出発。アンデス山脈赤道の国エクアドルで夢の赤道に立ち、太平洋を目指し西進。7月31日エクアドル最後の町のガソリンスタンドオーナーに見送られ、北部ペルーに入国。海に向かって快走した8月4日、海に近い町グアダルペでトラック接触事故に遭遇。救急搬送の病院で8月7日、志半ば……無念にも永遠の旅人に。
■佐藤同志は、パナマからの一時帰国中(2019/3/6~6/15)、元赴任先小学校で、陸上競技大会のための朝練ボランティアに取り組む。
・6~7時/自宅から自転車で18kmラン。
・7~8時/朝練ボランティア。
・8~9時/自転車で18km帰宅。
・9時から/株取引(※これは過去の世界挑戦者と大きく違い、特筆!され、佐藤は一時帰国中、こんな生活をしばらく楽しんだ)。
■そして、「サトウフミヒコ@世界科学習」ブログに。
「元小学校教師、世界一周自転車の旅に出発!子どもたちに、ブログやSNSを通じて世界を発信していきます。北米大陸縦断を達成して、一時帰国中。
次は南米編、6月に出発予定です!」
「出発まであと2カ月、少しは社会参画しようかね。もっともっと名前を売って、世界科学習を広めないと。2019年4月9日」
@fumi8228さんのツイート
「8時~9時 自転車18km
9時~ 株取引
しばらく朝はこの生活。楽しもう。 2019年4月11日」
■その「ブログ・写真・発信」について。
撮った写真 およそ3000枚(うち、自分が映っているのはたった40枚)
書いた記事 182回
ブログの広告収入 2018年6月~2019年3月 およそ5万円
◆コメント
あんまり写真をたくさん撮るほうじゃないので、これくらい。後半は、人と関わるのをさけていたので、風景の写真ばっかりです。一から自己紹介して、旅の説明をして……疲れちゃんだよなあ。記事は1~2日に1回更新。楽しみながらもがんばった。広告収入は、もう少し増やせるようにしたいね。
※いや、株取引にしろ、ブログ広告収入にしろ、出来る人はスゴイね?と、その昔の1968年、目一杯だった20万円を路銀に世界一周へ打って出た池本元光(JACC創設、現代表)は、時代が時代だと振り返ることしきりだ。
記)池本

子どもたちのメッセージ日の丸と記念写真

標識での元気な姿

背にして笑顔を見せる
■JACC入会時、登録カードに残されている入会理由
・世界一周にチャレンジするにあたって、先達から情報を得たい。
・同じ志を持つ仲間をつくり、今後の人生の糧としたい。
・自分の旅を世界に発信する足掛かりにしたい。
・石田ゆうすけ氏の書籍でJACCを知った。
※JACCに寄せる期待と信頼が感じとれる。無事世界一周を成し遂げ、JACCの一員として活躍して欲しかっただけに残念でならない。(※宇都宮)
■企画書内の「挑戦への決心」
「世界一周に向けて9日間で台湾縦断。安宿に泊まりながら、1日100km超を走り続けた。
途中で親切な人に飲み物や食べ物をもらったり、同じ自転車旅行者のパンク修理を手伝ったり、仲良くなった現地の人に観光案内をしてもらったりして、様々な人とコミュニケーションをとることの喜びに気づいた。この旅で、世界一周挑戦への自信がつき、仕事を辞めて行くことを決心した。」※仕事を辞めて旅に出ること…旅への強い思いと熱意が伝わってくる。(※宇都宮)
■企画書の項目
1、動機と目的~すてきな職を捨ててでも~
2、旅の特色~フミヒコなりの旅にする~
3、予定しているルートと期間
4、準備を含めた資金について
5、持ち物(優先順位別)
6、旅を終えた、その後について
「これまで、都合が合わずJACCの集まりなどに参加することはできませんでしたが、私の活動を知っておいていただきたいので、企画書を提出させていただきました。これからもよろしくお願いいたします。」〔平成30年(2018)4月20日 佐藤文彦〕
※丁寧な企画書と文面からもその人柄が偲ばれる。周到に準備し、安全対策にも十分に留意していたと思われるだけに、元気な笑顔で帰国してJACCの報告会で旅の話を聞かせて欲しかった。(※宇都宮)
また、企画書には「報道関係各位」へのリリースとして次の文言が残っている。
●「サトウフミヒコの世界科学習」
~子どもたちに世界を発信!元小学校教師の自転車世界一周~
「8年続けた小学校教師を退職して、世界一周自転車の旅に出発します。子どもたちが世界に関心をもてるように、旅の様子や、日本文化との違い、小学生の学習に役立つ内容でSNS等を通して伝えていきたい。私は小学校の教師として8年間働き、運よく1~6年生まで全ての学年を担任することができました。しかし、教師になる前からずっと思い描いて来た自転車世界一周をするために、退職しました。
夢だった世界一周を自分のものだけで終わらせるのではなく、多くの人に発信したいのです。小学校で外国語科が実施されることからもわかるように、今後、日本人は国際人として生きることが求められています。旅のなかで、未来を担う子どもたちが世界に関心を持てるような内容を授業形式でSNSやYouTubeで配信していきます。」
と、情熱に燃えていた佐藤文彦同志だけに、志半ばの交通事故死は無念でならない!

素敵な印西市立木刈小学校

佐藤の旅の掲示が廊下の壁
に設けられ紹介された

【旅の軌跡】
記)宇都宮
8年間の小学校での教師生活の後、多くの教え子や保護者、同僚の先生方に見送られ2018年6月6日、世界一周の起点、アラスカ・アンカレジへと旅立った。
その後、アラスカからアメリカ西海岸を南下し、10月中旬メキシコに入国。しかし、中米の猛暑に加え体調不良が続き、出発して8カ月後の14000㎞走ったパナマから、心身のリフレッシュのために3月6日一時帰国。帰国中も小学校を訪れ、子どもたちに旅先での体験を伝えたり、陸上競技等の指導も行っていた。また旅の期間中、教鞭をとっていた印西市立木刈小学校には、旅に関する掲示コーナーが廊下に設けられ、旅の進行が紹介されていた。そしてこれまで培ってきた授業力を活かして、子どもたちが世界に興味を持てるように、「自転車の旅を通して、世界を発信していきたい!」という強い思いから「世界科学習」として、旅の行動を写真とともにブログを精力的に発信してきた。
6月15日に南米コロンビアに向け再出発。7月31日に赤道の国エクアドルからペルーに入国。そして8月4日、内陸部から太平洋に近い町グアダルペにて、トラック接触事故に遭遇。はねられ、病院に運ばれるも、頭を強く打っており8月7日、帰らぬ人に。
出発前に地元の新聞社の取材に「子どもたちに世界の広さ、挑戦することの大切さを伝えたい。」と抱負を語っていた。教育旅を柱として、時には現地の学校を見学し、過酷な環境の下でも日本の子どもたちに向けて学習に役立つような旅の情報を発信し続けてきたことは、すべての人々の心に永遠に残るであろう。

南米最南端、そしてアフリカからヨーロッパを経て
アジアへと元気に走り、
多くの子どもたちに自転車旅の素晴らしさを
熱いメッセージとともに送り続けて欲しかった!
●JACCホームページ項目「地球体験情報紙」から下記のペダリアン掲載号で佐藤文彦同志の旅を偲んで頂ければ幸いです。
◎ペダリアン夏144号2.3面(2018年7月1日発行)
「佐藤、すてきな職を捨て」見出し。
◎ペダリアン秋145号7面(2018年10月10日発行)
「”教育旅”佐藤、北米南下中!」見出し。
◎ペダリアン冬146号3.4面(2019年1月1日発行)
「”教育旅”佐藤、北米~メキシコ南下するも!」見出し。
◎ペダリアン春147号7面(2019年4月1日発行)
「”教育旅”佐藤、北米~中米南下するも!」見出し。
- 旅病?重なる胃腸炎に泣く- 小見出し。
◎ペダリアン夏148号3.7面(2019年7月1日発行)
「北中米縦断”教育旅”佐藤の苦悩」見出し。
◎ペダリアン秋149号4面(2019年10月10日発行)
悼む「世界の友より─」「世界の道へ──」
■本文(副代表宇都宮秀俊、応援追記/代表池本元光)、フィルター協力/梶政雄共同代表・出口隆二事務局長・鈴木邦友評議員・MLメンバー各位。感謝申し上げます。
※今回、佐藤同志の原稿「旅の軌跡」に取り組んだことで、「一度も会ったことがなかった佐藤さんが私にとってとても近い方のように思えてきました。一度お会いして、いろいろなことを話してみたかった!というのが今の正直な気持ちです」と本文をしたためた宇都宮副代表(福岡県北九州市の高校教師、山形大時代に世界一周を体験)は伝える。(文責/池本)